秋の予感・・・

今日はスプリンターズSですね。いよいよ秋を感じます。そして今夜は凱旋門賞も行われますね。

さて、今年のスプリンターズSは私にとっては少し特別です。なぜならば・・・オグリキャップのひ孫が走るのであります!!!その名はラインミーティア。牡の7歳。アイビスサマーダッシュでこの夏1着に!7歳の夏に能力再び開花!といったところでしょうか。すごいですね。2桁着順も少ないですし、安定的に長く競走馬生活を送れるタイプだと思っていましたが、この機にまた強さを増すとは。。。セントウルSでも2着ですし、夏の好調を維持していますね。

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放牧地の馬の習性

1歳馬は好奇心旺盛です。

馬房に行くと全員、ぬっと顔を出します。1歳馬は性別に分けられて生活していますが、彼ら、彼女らの仕事は夏までは昼夜放牧ですね。明け方になると馬房に戻ってきて休憩&食事、朝9時過ぎぐらいから翌日の明け方まで放牧。

夏が過ぎるといよいよ来年競走馬としてデビューするためのトレーニング開始。丈夫でメンタルも強そうな早生まれの子たちから育成牧場でのトレーニングが始まります。

さて、そんな1歳馬たちですが、夏までは同じ1歳馬同士で「寮生活」みたいな感じで「イヤリング厩舎」といわれる1歳馬専用厩舎を拠点に専用放牧地で集団生活。イヤリング=Yearingで1歳馬のこと。ちなみに、男の子の1歳馬はコルト(Colt)、女の子の1歳馬はフィリー(filly)。
そういえば重賞レースに「阪神ジュヴェナイルフィリーズ」ってありますね。そのフィリーズです。

今回はそんなぴちぴちフィリーズ達を観察したときのことを書いてみたいと思います。

馬も人間と同様、「ムラ社会」で生きています。ただ、人間同士ほどややこしくはないかな。。。
朝9時になって牧場スタッフにうながされるように放牧地に出ます。馬同士も相性があるのでわりとうまくやっていける同士、同じ放牧地に連れていきます。1か所の放牧地に大体10頭程度。(牧場によって1か所の放牧頭数は違うとは思いますが・・・)
ただ、いっぺんに全員を放すわけではありません。2頭1組ずつで放していくんですね。最初の1組が放牧地に放されると、ここの牧場では必ず彼女たちは次の1組目を待っていて、2組一緒になると放牧地の奥に歩いたり走ったりして進んでいきます。
どんどん放牧地に馬たちが増えていきますが、結局彼女たちはひとつのカタマリで動きます。群れに必ずボスと2番手がいて、そのボスについていく感じですね。
時々ボスのポジションをめぐって争いが起きます。

我々が彼女達を放牧地で観察していると・・・
「アタシアタシ!!一緒に遊ぼうよ!!」とボス馬がやってきます。後ろから二番手が「アタシもよろしくね~」とやや控えめにやってきます。
そこにぺえぺえの牝馬がこっそりやってきてつぶらな瞳で「アタシかわいいでしょ」アピール。
するとボス馬が怒り出しで威嚇、ぺえぺえ牝馬ちゃんは追い出されます。おいしそうな草も必ずボスにとられてしまいます。

中にはそんな女同士の争いに巻き込まれずに上手に生き延びている馬もいます。ボス馬が「よう、遊ぼうよ」とやってくると「そうですね。。。こちらの草、いかがですか~」。ぺえぺえ牝馬ちゃんが「あのボスむかつく~」というと「そうだねえ、まあテキトーに」みたいな。人間でいうと上手にサラリーマンとして渡り歩いているタイプでしょうか。

中には群れの横で勝手きままに寝転ぶ子も・・・よいしょ!と立ち上がろうとするのはオルフェーブルの1歳牝馬。

さすがオルフェーブルの子です。体が柔軟です。性格のマイペースさもお父さんに似たのかな。

さて、放牧地内では、馬たちはわりと端っこをうろうろします。
放牧地での動き方を手書きで図解してみました。

入口から奥に向かって群れは直進→それかれちょっと木陰がありそうな左端へ移動→今度は真ん中に移動してまた奥に進みながら左端へ→端っこを直進してまた真ん中へ→それから放牧地のかなり奥へやや左に斜行しながら進んでいてそこでしばらく落ち着く、といったところでしょうか。

人間も端っこって好きですよね。思い起こせば、学生時代教室で場所取りするとき、ひろ~いスペースの中でもやっぱり端から座っていく。電車もそう。。。みんな端っこ大好きですなあ。。。
また、大金持ちで螺旋階段付きのひろ~い豪邸に住んでいる方々も、お話を伺うと結局いつもいる場所は同じで「リビングの端っこ」って。だったら広い家は必要ないんじゃないの?って尋ねてみましたがそれとこれは別らしい。。。

さて、馬にとって放牧地の広さと傾斜は重要です。昼夜放牧は1歳馬の仕事です。放牧が仕事って現役競走馬の皆様からみると「いいよなあ」ってうらやましい限りではあるのですが、1歳馬たちもそれなりに必死です。お母さんと離れて初めて仲間と一緒に生活する。その中で日々、あんなことやこんなことが・・・
1)青草をたくさん食べて体の中に酵素を取り入れる。
2)集団生活に慣れてタフになる
3)歩き回って運動をする
4)広い空間で生活することにより穏やかな性格の大人になる。
5)野生動物や虫(特に虻)などのストレスにさらされることで病気に強くなる。
6)緩やかな傾斜のある放牧地は、運動の距離を稼げるというメリットもあって足腰が鍛えられる。

ざっと挙げただけでもこれだけのメリットがあります。さて4)については、疑問視される方もいらっしゃるかもしれませんが、競走馬は気性の激しさも大切ではありますが、気が単に荒いだけでは、実は現役時代あまり良いことはありません。気性が激しい原因のひとつに「恐怖心」もあるのではないかと個人的には思っております。人に対して攻撃的である、ということは人を信用しないということ。それは幼少時代のトラウマを引きずっている可能性もあります。仔馬の時に狭いところに閉じ込めておくのはストレスになるのではないでしょうか。競走馬デビューしてからも、広い競馬場で恐怖心を感じるかもしれませんし、走るの気分次第になってしまいますね。広い放牧地でしっかりと運動をして仲間と過ごすことが心と体の健康に良いのでしょうね。

ちなみに放牧地観察は複数の牧場で行ってみましたが、やはり馬たちは端っこに仲間でカタマリになって食っちゃ寝したり遊んでいます。群れの場所は5分おきぐらいに少しずつ変わって奥に奥にとジグザグしながら進んでいっています。

そんな1歳馬たちもそろそろ早生まれの子たちからいよいよ育成に入って競走馬デビューを目指すトレーニングに入る時期ですね。
みんな頑張ってほしいと思います。